なぜ減った?車のコラムシフトが姿を消した理由とは
コラムシフトは、かつてタクシーや一部の乗用車で多く見られましたが、現在ではほとんど見かけなくなりました。一体なぜコラムシフトは姿を消していったのでしょうか。この記事では、コラムシフトの仕組みやメリットとともに、減少の背景にある技術やニーズの変化、さらには現代との相性の問題などをわかりやすく解説します。
コラムシフトとは?かつて主流だったシフトレバーの形式
今ではあまり見かけなくなった「コラムシフト」ですが、かつては軽自動車から普通車、大型車まで幅広い車種で採用されていたシフト形式です。ここでは、コラムシフトとは何か、その特徴や採用された背景などについて紹介します。
コラムシフトとはどんなシフト形式?
コラムシフトとは、ステアリングコラム(ハンドルの軸)に装着されたシフトレバーのことを指します。フロア部分ではなく、ハンドルのすぐ横に設けられているのが大きな特徴で、運転席と助手席の間を広く使えるという利点があります。
現在では珍しくなった形式ですが、ひと昔前は多くの車でこの方式が採用されていました。
かつては多くの車種に採用されていた
コラムシフトは、軽自動車をはじめ、普通車や大型車、さらにはタクシーなどの業務車両にも幅広く採用されていました。とくに戦後の国産車では一般的な装備であり、1970年代ごろまではフロアシフトよりも主流だった時期もあります。
広い室内空間を確保できることから、ミニバンや商用車などでも重宝されていました。
1990年代には再び注目を集めた存在
1990年代には、軽自動車ブームとともに「ベンチシート+コラムシフト」の組み合わせが人気を博しました。センターコンソールを設けない構造により、運転席から助手席への移動がしやすくなるというメリットもあったのです。
日本だけではなく、当時のアメリカ車にもコラムシフトが多く見られるなど、グローバルに採用されていたシフト形式です。
操作性と快適性を両立していたコラムシフトの魅力とは
コラムシフトの独特なレイアウトには、見た目だけではなく、操作性や快適性といった実用面での魅力も数多く備わっていました。ここでは、コラムシフトならではの利点について紹介します。
ハンドル近くの配置ですばやく快適な操作が可能
コラムシフトは、ハンドルのすぐ左後ろに設置されているため、手の動きを大きくすることなくすばやく操作できるのが特徴です。運転中の手の移動が最小限に抑えられることで、ドライバーはより運転に集中しやすくなります。
頻繁にシフト操作を行う場面でも負担が少なく、スムーズなドライブを実現してくれます。
室内空間を有効活用できるメリット
シフトレバーがハンドル周辺にあることで、センターコンソールにスペースを設ける必要がなくなります。これにより、運転席と助手席の間がすっきりとした設計になり、車内の移動もしやすくなります。
とくに軽自動車やミニバンなど、限られた室内空間を有効に使いたい車種では、このレイアウトが大きな魅力となっていました。
どうして減ったのか?コラムシフトが姿を消した理由
かつて多くの車に採用されていたコラムシフトですが、現在ではその姿をほとんど見かけなくなりました。ここでは、コラムシフトが採用されなくなった背景について、おもな理由をご紹介します。
車の装備が進化し、快適性が別の形で実現された
近年の車には、オートクルーズコントロールやパドルシフト、オーディオ操作スイッチなど、快適性を高めるさまざまな装備が搭載されています。これらの進化により、コラムシフトが提供していた操作性や快適性がほかの技術で補えるようになりました。
とくにステアリング周りに多くのスイッチが集中することで、物理的なスペースの制約も生まれ、コラムシフトの設置が難しくなったことも背景にあります。
インパネシフトの普及により役割を置き換えられた
昔のオートマチック車には、フロア・インパネ・コラムという3種類のシフト形式が存在していました。しかし、現在ではフロアシフトかインパネシフトが主流となり、コラムシフトはその役割を失っていったのです。
とくにインパネシフトは、コラムシフトと同様にセンターコンソールのスペースを節約できる上、よりスマートでモダンな印象を与えるデザインとして評価されています。
電子制御の発展とシフト方式の変化
車の電子化が進んだことも、コラムシフトが減少した大きな理由のひとつです。電子パーキングブレーキやスイッチ式のギアチェンジなど、従来の機械的な操作を必要としないシステムが次々と登場しました。
とくにスイッチレバーの登場により、物理的なレバーを動かす必要がなくなり、よりかんたんかつ省スペースなシフト操作が可能になっています。これにより、コラムシフトのような従来型のレバーは次第に役割を終え、採用車種も激減することになったのです。
まとめ
コラムシフトは、かつて多くの車に採用され、操作性と快適性を両立させた魅力的なシフト形式でした。しかし、車の技術進化や快適装備の多様化、電子制御の発展により、より便利で省スペースなシフト方式へと変化していったのです。その結果、コラムシフトは徐々に姿を消すこととなりました。今後も車の進化に合わせてシフト操作の形は変わっていくでしょうが、コラムシフトがもっていた独自の利便性や歴史的な役割は、自動車文化の中で重要な一幕として語り継がれていくことでしょう。